国内外のOAの動向・背景
背景
学術論文の発表等を通じたオープンアクセスの推進により、研究成果は社会に広く還元されています。一方でその流通は依然として少数の世界的な学術出版社等の市場支配下にあり、購読料や学術論文のオープンアクセス掲載公開料(APC)は高騰が進んでいます。
この高騰は学術雑誌の購読や学術論文の出版という学術研究の根幹に係る大学、研究者等の費用負担を増大させ、研究そのものへの悪影響をもたらす可能性があるとして懸念されています。また、学術論文等の利活用に制限がある場合も少なくありません。
オープンアクセスを含むオープンサイエンスの推進については、米国や欧州を中心にオープンデータの積極的な活用に向けた取組が進められ、国際的な会合でも議論されています。
国内の動向
2023.5 G7広島サミット/G7仙台科学技術大臣会合
「オープンサイエンス拡大のために協力すること」「公的資金による学術出版物及び科学データへの即時のオープンで公共的なアクセス(immediate open and public access)を支援すること」が盛り込まれた共同声明が発表された。
2023.6 統合イノベーション戦略2023
取り組むべき施策として「学術論文等のオープンアクセス化の推進」があげられ、2025年度新規公募分からの学術論文等の即時オープンアクセスの実現を見据えた、国レベルのオープンアクセス(OA)に関する方針を策定することが決まった。
2024.2 「学術論文等の即時オープンアクセスの実現に向けた基本方針」の策定
学術雑誌への掲載後、公的資金による学術論文、及び根拠となるデータを即時に機関リポジトリ等の情報基盤へ掲載することを義務づけられた。
海外の動向
欧州
2018年9月、欧州の研究助成機関の国際コンソーシアム「cOAlition S」が、研究成果物の完全かつ即時OA化を目指すイニシアティブ「PlanS」を発表した。「2020年1月1日以降、公的助成を受けた研究成果出版物は、Plan Sに準拠したOAジャーナルないしOAプラットフォームで公開しなければならない」という、制限の強い計画であったため実現には至らなかったものの、オープンアクセスの議論を世界規模で活性化させた。
米国
- 2008年4月、アメリカ国立衛生研究所(NIH)は、NIHの資金援助を受けて発表された研究成果の最終原稿電子版を、PubMed Central(PMC)に提供することが義務付けるパブリックアクセスポリシーを発表している。
- 2022年8月、米国大統領府科学技術政策局(OSTP)は、連邦政府から資金提供を受けた研究・出版物について即時OA化を義務づける方針としてパブリックアクセスポリシーを発表し、2025年末までに施行予定である。