新潟大学 即時OA広報β版

オープンアクセスの概要

オープンアクセスとそのメリット

オープンアクセス(OA)とは、研究成果(論文や研究データなど)をインターネット上で公開し、誰でも無料で利用できるようにすることです。オープンアクセスの促進には、次のようなメリットがあります。

社会的なメリット

  • 購読料の支払いを必要としないことで、学術情報へのアクセスに関する経済的な格差の是正につながります。
  • 研究成果の社会還元が促進されます。

研究者にとってのメリット

  • 世界中の人々に無料で論文を読んでもらうことができます。
  • 多くの人に読んでもらえることで、論文が引用される可能性が高まります。

グリーンOAとゴールドOA

論文をオープンアクセスにする方法としては、主に「グリーンOA」と「ゴールドOA」の2つがあります。

グリーンOA

論文の著者本人が、機関リポジトリや分野別リポジトリ(例:RePEc、arXiv、PMCなど)、あるいは自身のWebサイトや研究者向けSNS等を通してインターネット上に公開(セルフアーカイブ)することで、論文をオープンアクセスにする方法です。グリーンOAは基本的に、無料で行うことができます。

なお、学術雑誌に掲載された研究成果をグリーンOAにする場合、出版社によって公開可能な原稿の版が指定されていたり、公開禁止期間(エンバーゴ)が設けられていることがあります。多くの出版社が、機関リポジトリへ登録できる原稿の版として「著者最終稿(査読が通った際の原稿)」を指定しています。

ゴールドOA

著者が学術雑誌出版社へAPC(Article Processing Charge:オープンアクセス掲載公開料)を支払うことで、電子ジャーナルサイト上で論文をオープンアクセスにする方法です。掲載する全ての論文がゴールドOAの雑誌は「フルOA誌」や「ゴールドOA誌」と呼ばれ、出版にかかるコストはAPCによって賄われています。一方、基本は購読者のみ利用できるが、著者がAPCを支払った(オープンアクセスオプションを選択した)論文のみ無料で公開される「ハイブリッドOA誌」もあります。

グリーンOAとゴールドOAの違いは、主に次の3点に集約できます。

グリーンOA ゴールドOA
コスト 基本無料 APCが必要
公開できる場所 機関リポジトリ、分野別リポジトリ、個人のWebサイト等 電子ジャーナルサイト
公開できる版 主に著者最終稿 出版社版(雑誌掲載レイアウト、ページ番号)

また、グリーンOAとゴールドOAを論文出版までのフローに即して表現すると、次の図のようになります。

ハゲタカジャーナルに要注意

著者から高額なAPCを得ることのみを目的として、重要なフローである「査読」を適切に行わずに短期間で論文を公開する悪質な学術雑誌のことを、「ハゲタカジャーナル」と言います(英語では predatory journalと呼ばれ、「粗悪学術誌」などとも訳されます)。ハゲタカジャーナルは、著者の「論文を発表したい」「急いで実績を上げたい」という心理を利用しており、査読の速さなどを売りにしてマーケティングを行なっている場合もあります。また、ハゲタカジャーナルの出版社は、研究者が論文を投稿してくるのをただ待っているだけでなく、研究者に対して論文の投稿を呼びかける勧誘メールを送るなど、積極的に働きかける事例も知られています。

ハゲタカジャーナルに投稿することによるデメリットとしては以下のものが考えられます。

  • 適切な査読が行われないため、論文の質が担保されません。
  • 掲載されることで逆に著者の評価・信頼を下げる危険性があります。
  • 掲載撤回に応じてもらえない場合、他のジャーナルへの再投稿ができなくなり、その分の研究データが水の泡となります。
  • 高額なAPCや、法外な論文取り下げ料の要求など、金銭的トラブルの恐れもあります。
  • 所属研究者によるハゲタカジャーナルへの投稿が続けば、大学自体の信用低下にも繋がります。

ハゲタカジャーナルを避けるためには、論文投稿先の学術雑誌が安全かどうか、慎重に判断する必要があります。学術雑誌の安全性の確認方法については、こちらをご確認ください。

また、新潟大学におけるハゲタカジャーナルに対する方針については、こちらをご確認ください。