佐野家文書解題

 越後国出雲崎湊の廻船問屋泊屋(佐野家)の文書である。佐野喜平太氏(元代議士・地主)が明治・大正年間に 収集したコレクション佐野文庫に含まれる(佐野文庫の詳細は別項の佐野文庫解題 参照)。
 佐野家は、江戸時代に佐渡の金山の渡海港・北前船の寄港地として栄えた出雲崎湊を拠点に活躍した廻船問屋であり、 屋号を泊屋と称した。のちに地主に転じた。
 佐野喜平太氏は幕末の慶応2年に出生した。明治20年、22歳で尼瀬石油社設立に関与し、頭取となる。尼瀬石油社が 石油算出量の減退のため挫折した後は、政治の道へと転身する。明治33年の立憲政友会新潟支部結成に際して評議員となり、 明治34年には町長に選出され、尼瀬町と出雲崎町の合併問題に奔走した。その後、明治36年に県会議員、明治45年には 第11回総選挙に当選し、衆議院議員となった人物である。
 この文書群は江戸後期から明治期の佐野家の廻船問屋としての活動や地主としての活動を示す資料が主で、総数は2,662点である。 廻船問屋関係の資料としては、とくに同家が扱った北前船の名簿「諸国客船帳」12点が杉箱2箱に収められて伝来しているのが 特筆される(下記一覧表参照)。地主関係の資料は、明治期のものが中心である。小作証文等のほか石油会社の設立にかかわる資料が残されている。
 なお、佐野家文書の目録は『佐野文庫敬徳書院蔵書目録』(昭和49年新潟大学附属図書館刊行)に含まれている。

佐野家客船帳一覧

整理番号 標題
P2-a  諸国御客船帳(宝暦年中改、安永3年改)
P2-b  諸国御客船帳(宝暦年中改、安永3年改 文化2年改)
P2-c  諸国御客船帳(宝暦年中改、安永3年改)
P2-d  越前若狭丹後但馬因幡伯出雲石見隠岐御客帳(宝暦年中改、安永3年改 文化2年改)
P2-e  当国越中能登加賀御客帳(宝暦年中改、安永3年改)
P2-f  御客入船帳(弘化4年〜元治2年)
P2-g  御客入船帳(慶応3年〜明治20年)
P2-h  諸国御客帳(安永3年)
P2-i  御客上下留(午 文政5年〜)
P2-j  御客帳(明治8年)
P2-k  御客船留(明治6年)
P2-l  諸国相場帳(文化2年)
 ※上記12点全てのページを画像化している。

参考文献

[佐野家に関連する自治体史]
  • 『出雲崎町史』(出雲崎町 , 1980-)
  • 佐藤吉太郎編著『出雲崎編年史』(良寛記念館 , 1972)
[佐野家文書を使った研究・紹介]
  • 中西聡『近世・近代日本の市場構造 : 「松前鯡」肥料取引の研究』(東京大学出版会 , 1998.7)
  • 小村弌『近世日本海海運と港町の研究』(国書刊行会 , 1992.1)
  • 『北前船と越前・若狭』(福井県立博物館 , 1985.4444)
[佐野文書関連の目録]
  • 『佐野文庫敬徳書院蔵書目録』(新潟大学附属図書館 , 1974)

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